積み木通信No.235が、発行されました。
今年も「私の戦争体験」を5名の方に語っていただき、掲載しました。


愛と死と
「強く優しい母に育てられて」

「ギャッ!」甲高い、圧し潰したような悲鳴が

背後でした。振り返る。妻がいた。そして母がい

た。焼夷弾を浴び、火だるまになった母が。瞬間、

体の中から一切の力が抜け落ちるのを感じた。耳

鳴りがした。いま自分の眼の前にある光景が別世

界のもののように思えた。 

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「死んじゃならねえ! 死んじゃならねえぞお!」

私と母は一晩中、川の中にいた。翌朝、海軍病

院の巡回車を見つけ、病院へ運び込んだ。七月二

十四日、母は私の眼前でその一生を閉じた。 
鈴木伊智男)